皆さまこんにちは!
暑いですね。「夏」と言えば読書感想文です(?!)
最近は読みたかったけれど忙しさにかこつけて読めていなかった本を、仕事の休憩中に読んでいます。
最近読んだ、村田沙耶香さんの「コンビニ人間」についての感想を書きたいと思います。
コンビニ人間のあらすじ
36歳未婚、彼氏居ない歴年齢、正規の就職の経験なし、大学の時から続くコンビニバイト歴18年目の古倉恵子さんが主人公です。
幼少時より周囲から浮いた存在でしたが、コンビニという場所で均一化された役割を演じる事で「世界の正常な部品としての私が、この日、確かに誕生した(P20)」と感じる主人公。
バイト中心の生活の中で「なぜ就職しない?」「なぜ恋愛、結婚をしない?」等、周囲から干渉され追及される事に負担を感じている。
新しく30代男性の白羽さんがバイトに加わった事をきっかけに、古倉さんの状況に変化が訪れる。
コンビニ人間。古倉さんが面白い!
まず、主人公古倉さんの独特の、感情乏しくAIのような合理的な言動や思考が面白いです!
特に白羽さんへに対する洞察力。
白羽さんは店の女性客へのストーカー行為でコンビニをクビになりますが、性懲りもなく店の近くでストーカーを続けているところを古倉さんに見つかってしまいます。
白羽さんに事情を聞けば
「‥何で三十代半ばなのにバイトなのか。何で一回も恋愛をしたことがないのか。‥誰にも迷惑をかけていないのに…皆が僕の人生を簡単に強姦する(P82)」
という白羽さんに対し、古倉さんは
「被害者意識は強いのに、自分が加害者かもしれないとは考えない思考回路なんだなあ(P83)」
と思う部分。超達観していて冷静な古倉さん。
それに対し、差別主義者で自己中心的で実績も無いのに口ばかり‥控え目に言ってもクズの白羽さん。
読んでいる側はかなりイライラします(笑)。
テレアポ人間?
テレアポする私にとって、しょっぱなから、この感覚わかるなーと共感した部分があります。
冒頭部
「色々な人が同じ制服を着て、均一な「店員」という生き物に作りなおされていく(P16)」
とあるのですが、主人公と同じ対外的職業のテレアポをしているので、電話口では別人格になるような感覚は似ているのかな~と思いました。
仕事中は、相手の話の内容はもとより声音や抑揚をキャッチして相応しいスクリプトや切り返し集から適切な対応をします。
「店内に散らばっている無数の音たちから情報を拾いながら(P4)」動作を最適化し仕事をする主人公。
テレアポ人間(?)の私も、どこか被る部分があると感じました(笑)。
また、この小説のテーマのような部分に多少身につまされる部分もありました。
普通ってなんだろう
「彼氏彼女いないの?結婚は?子供は?二人目は?仕事は?」
等、この小説に出てくる周囲の人々のように、キリが無いほどにあれこれ言う人はどこにでもいて、自分の尺度にあてはめて疑問をぶつけてくる人、いますね。(うんざりです。)
また、直接には言わないけれど、思うだけの人ならもっと沢山いて、それがふとした時に垣間見えてしまい
「思っている事がついぽろっと出てしまったんだな。この人は普段からそういう風に思っていたんだな・・」
なんて思いをした事は、私にもあります。
コンビニの仲間内でも、古倉さん自身はうまく擬態しているつもりでいても、仕事外では遠巻きにされいたようで、飲み会を外されていたのがわかるくだり。
白羽さんと「交際し同棲している」と勝手に曲解した仕事仲間が「飲み会に来て話を聞かせろ」というシーンはなんとも言えない場面です。
ちなみに、私の仕事内容の「テレアポ」は、他社から依頼を受け責任をもって行う立派なお仕事だと思っていますが、実際を良く知りもせずに職業差別的な感想を持つ人は現実にいると感じています。
作品内でも白羽さんがコンビニ店員に対して差別的な発言を端々でしているように。
誰がきめたかわからない一般的な範疇やその人の尺度的にアリかナシかで人の序列を決める人はどこにでもいて、表立って言わなくても差別意識が垣間見えてしまう事ってありますよね。
直接的な事でない分、非常にやっかいで、生きづらい人が多いのもそりゃそうだろと頷ける世の中です…。
縄文時代から変わらない
最後、コンビニを辞めた主人公が、何かが振り切れて店員でもないのにコンビニで商品の並べ直しを始めてしまい不信がられるのですが、コンビニの客へ注意する謎の男(P56あたり)は後半への布石でしょうか。
笑える部分の多い小説でしたが、どこまでいっても「ムラ社会」に絡めとられなくてはならない現代人、いや白羽さんの言う「縄文時代から変わらない」人間の性を考えてしまうような作品でした。
本当に簡単な感想でしたが、備忘録として今後もまた感想文書くかも知れないです!
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